韓国軍合同参謀本部は3日、江原道鉄原にある第3師団地域の北朝鮮軍によるGP(監視哨所)銃撃挑発について「意図的な挑発の可能性は小さいとみられる」という趣旨の説明を行った。この説明にはかなりの時間を割愛したが、挑発そのものに関する具体的な説明は少なかった。北朝鮮軍がどのような武器で挑発を行ったかについては「分析中」という言葉を繰り返し、韓国軍による応戦射撃、警告放送の時間も公表しなかった。ある韓国軍関係者は本人の職責まで前面に出し、北朝鮮軍による意図的な挑発の可能性が小さい理由を説明した。北朝鮮側が韓国軍GPを攻撃したことについて何も言及していない段階で、韓国軍が大急ぎで「北朝鮮軍による偶発的な銃撃」と解釈するかのように見えた。複数の専門家は、北朝鮮軍の銃弾が韓国側GPの外壁に4発も突き刺さっていることを取り上げ「意図的な照準射撃でなければ起こりえない」と説明している。そのため「韓国軍は性急に北朝鮮擁護に乗り出したのでは」との指摘も相次いでいる。
ある韓国軍関係者はこの日、銃撃挑発直後に行われたブリーフィングで「今日(3日)午前7時41分、勤務者が数発の銃声を聞いた直後、GP周辺を直ちに確認したところ、外壁に4発の銃弾が確認された」「わが軍は10余発ずつ2回、警告の次元で射撃を実施した」と事件の概要を簡略に説明した。その一方で質問が行われる前から、北朝鮮による意図的な挑発の可能性が低い理由について大きく4つの理由をあげて説明した。この関係者は「当時、視界が1キロ前後と悪く、深い霧がかかっていた」「さらに状況発生当時の時間帯は、通常は北朝鮮側での勤務交代後の火気点検が行われていた時」と述べた。
韓国軍は「GP銃撃前後、北朝鮮地域の農民らが特別な反応なしに農作業を続け、北朝鮮軍による特異な動向はなかった」とも説明した。さらに「今回銃撃を受けた韓国軍GPは北朝鮮軍GPよりも地形的に有利なため、北朝鮮が挑発を敢行する理由は少ない」とも指摘した。韓国軍のある幹部は自らの職責にまで言及しながら「(敵の挑発に)過度に備えるべき立場から挑発の適切性をみなければならないが、視界が悪く、霧がかかっていたのに正確な挑発をするだろうか」と述べた。
韓国軍はこの日「わが軍の対応射撃と警告放送の時間はいつだったのか」「わが軍GP外壁から発見された北朝鮮軍の銃弾の種類は何だったか」などの質問には「分析中」「回答は困難」などと繰り返した。そのため韓国軍の説明に対する反駁が相次いだ。北朝鮮による挑発状況については説明せず、「北朝鮮の意図性は薄い」という趣旨の説明を先に行うのは主客転倒だというものだ。「夢を見たのに、夢の話はせず夢解きを先にしている」との指摘もあった。一線部隊の関係者は「北朝鮮側が先に『意図はなかった』と説明したわけでもないのに、このように積極的に北朝鮮の挑発行為を弁護するのは正しいことだろうか」「韓国軍当局が誤解を買うような言葉を自分から使っている」などと疑問を呈した。
韓国軍関係者はこの日、「北朝鮮の挑発は9・19軍事合意違反」と明言はしたが、その一方で「9・19の精神は南北がこのような問題を平和的に解決するというもの」と強調した。さらに別の韓国軍関係者は「明らかに軍事合意違反だが、意図性については追加の確認が必要だ」と述べた。韓国軍は挑発から2時間後の午前9時35分ごろ、南北将星級会談の韓国側首席代表名義で北側に電子通信文を送り、状況についての説明を求めたという。しかし北朝鮮側からの回答はなかったようだ。このような状況にもかかわらず、韓国軍は北の挑発に対して公式に抗議の論評や説明も行っていない。
韓国政府関係者は「われわれは対応射撃を行ったが、北朝鮮からそれに相応する軍事的対応がなかった点を評価している」「まずは北側の説明を聞かねばならないだろう」とコメントした。韓国国防安保フォーラムのシン・ジョンウ専門研究員は「今回の挑発は偶発的な状況ともみることはできるが、北朝鮮の説明がなければ故意の挑発だった可能性もある」として「韓国軍自ら北朝鮮を擁護するかのような発言をするのは、軍本来の存在理由を考えると適切ではない」と指摘した。
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