韓国政府は12日、日本政府の輸出管理について、厳格運用を始めた2019年7月以前の状態に戻すよう改めて要請した。韓国産業通商資源省は「日本側が提起した3つの事由はすべて解消され、緩和条件は整った」とし、5月末までに具体的な対応策を要求した。両国の議論は平行線をたどってきた。緩和を急ぎたい韓国側が期限を設定し回答を促した格好だ。
韓国側はこれまで日本の要請に応じて、軍事転用可能な部品や素材を輸出する際の管理体制の人員拡充や法改正といった対策を進めてきた。日本側が提示した政策対話も再開されており、産業通商資源省は「強化された輸出規制措置を原状回復させることをためらう理由はない」と訴えた。
日本の経済産業省は、まず制度の運用実態を見極める姿勢だ。そのうえで輸出優遇国に戻すかどうかを慎重に判断する。両国の輸出管理の担当部門どうしの対話は継続されているが、政治的にも両国関係に大きな影響を与える元徴用工問題は進展が見えないままだ。結果的に輸出管理の議論も停滞している。
両国の輸出管理を巡る対立は、2019年7月に日本政府が韓国の輸出管理体制を問題視し、半導体材料など3品目の管理を厳格化すると表明したことが発端だ。さらに韓国を輸出優遇措置の対象から除外し、日韓関係が一層悪化した。韓国側は政府要人がたき付ける形で「日本不買」運動を展開するなど、両国関係は修復の兆しが見えない状態が続いている。
日本にとって韓国は2019年の訪日客数で2位、貿易額で3位と、依然として結びつきは強い。摩擦が長引くのは得策ではない。だが、輸出管理の問題に加え、新型コロナの感染拡大が新たな火種になりつつある。
日本は9日3月、韓国からの入国制限を発動した。韓国政府は発行済みビザの効力停止など対抗措置に踏み切った。こうした状況で今回の協議は急きょテレビ電話による遠隔開催となった。当初は日本の経済産業省の担当者がソウルに出向く予定だった。
入国制限が始まった9日3月時点で両国を結ぶ航空路線は日本航空と大韓航空、済州航空の3社が一部路線を残すものの、他の航空会社はすべて休止している。観光客だけでなく出張者の往来も止まって両国間の貿易が一段と細る懸念も高まっている。
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