2020年6月9日火曜日

受注がない…韓国鉄鋼大手ポスコが一部休業

ポスコが2008年の金融危機から12年ぶりに減産を断行する。現代製鉄が電気炉熱延工場を止めたのに続き業界1位のポスコまで一部設備稼動を中断することにした。新型コロナウイルスの流行で鉄鋼需要が急減したためだ。これに対し原材料である鉄鉱石価格は急騰しており鉄鋼業界は四面楚歌に陥った。

8日の鉄鋼業界によると、ポスコは最近改修補修を終えた光陽(クァンヤン)第3高炉(溶鉱炉)の稼動時期を延期し、16日から浦項(ポハン)と光陽の一部生産設備を止めることにした。

会社創立後初となる有給休業も実施する。該当事業所の従業員は有給休業に入り、平均賃金の70%を支給されることになる。ポスコ関係者は「希望退職は検討していない。労使間の共感を基に危機克服に向け努力している」と話した。

ポスコは2008年の金融危機当時、会社創立から初めて減産を断行した。海外では鉄鋼世界最大手のアルセロール・ミッタルをはじめ、日本製鉄、USスチールなど主要鉄鋼会社がすでに減産に入っている。鉄鋼協会によると3月中旬以降で欧州の鉄鋼会社25社、米国の鉄鋼会社12社が稼動を中断した。韓国では現代製鉄が1日に忠清南道(チュンチョンナムド)の唐津(タンジン)製鉄所で電気炉熱延工場の稼動を止めた。

鉄鋼業界では設備稼動中断を苦肉の策と表現する。装置産業の特性上設備を一度止めると再び原状復旧するのに数カ月かかるためだ。鉄鋼会社が在庫を抱え込んででも稼動中断は避けようとする理由だ。業界関係者は「ポスコの1-3月期業績発表当時だけでも光陽第3高炉の稼動延期に対する言及はなかった。世界最高の生産システムを備えたポスコまで減産するほど鉄鋼市況は深刻だ」と説明した。

これは韓国の鉄鋼材生産量の30%を消費する最大需要先である自動車など前方産業の需要減少がそれだけ深刻だという意味でもある。格付け会社のムーディーズは1-3月期の世界自動車需要が昨年1-3月期に比べ14%減り、4-6月期には30%減少すると予想した。鉄鋼業界は昨年下半期から自動車用鋼板価格引き上げを試みたが新型コロナウイルスの流行で水の泡となった。

原材料価格の上昇も鉄鋼会社に負担を与えている。鉄鉱石価格は5日基準1トン当たり100.5ドルで取引されている。例年より20~30ドル高い水準だ。昨年8月から9カ月ぶりに100ドルを超えた。新型コロナウイルス流行が本格化した2月以降、原油や銅など多くの原材料価格が落ちたが鉄鉱石価格はむしろ25%急騰した。鉄鉱石の価格上昇は最大生産国のブラジルとオーストラリアの生産支障と中国政府の景気浮揚への期待がかみ合わさったためだ。

世界の鉄鋼会社が相次いで生産量を減らしているが、宝山鋼鉄や河北鋼鉄など中国の鉄鋼会社は高炉稼動率を高め「チキンゲーム」に出た。中国製熱延と鉄筋価格の上昇は韓国の鉄鋼会社に悪材料として作用している。ポスコ関係者は「韓国の鉄鋼会社の利益は自動車用鋼板、船舶用厚板など高級製品から出ている。中国の建設景気浮揚への期待が鉄鉱石価格上昇だけあおっている」と話した。

鉄鋼業界は4-6月期の最悪の業績を予告している。金融情報会社Fnガイドによると、ポスコの4-6月期営業利益は昨年より62.1%急減した4046億ウォンにとどまるとみられる。BNK投資証券は1954億ウォンまで低くみている。昨年10-12月期に20年ぶりとなる四半期赤字を記録した現代製鉄は3四半期連続の赤字が予想される。

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